本日も、朝から21時半まで7名の指導にあたりました。
今日は、難しい問題を考える時間について書こうと思います。
頑張って考えたのに、結局解けなかった。勉強をしていると、そういうことがあります。正解したかどうかだけで振り返ると、何も進まなかったように感じるかもしれません。
けれど、難しい問題に向き合ったあと、以前まで取り組んでいた問題に戻ると、前よりも平易に感じられることがあります。たとえその難問を解決できなくても、考えていた時間には意味がある。授業をしていて、そう感じます。
先日、努力に対する考え方と、難しい課題への挑戦を調べた研究を知りました。
2026年に心理学誌 Journal of Experimental Psychology: General に掲載された研究です。合計1,461人を対象とした三つの調査と、442人が参加した事前登録実験が行われました。
「意志力は使うほど減る」と考える人に比べ、「頭を使うことで、むしろ活力が湧くこともある」と考える人のほうが、難しい計算問題を選ぶ傾向がありました。数学への自己評価を考慮しても、その関係は見られたそうです。考え方を変えるよう働きかける実験でも、選ぶ問題の難易度に違いが生まれました。研究概要・論文情報はこちら。
面白いのは、問題に取りかかる前から、「頑張ることをどう捉えているか」が関わっているところです。「難しいことを考えたら消耗する」と思えば、最初から避けたくなる。その時間にも得られるものがあると思えたら、少し挑んでみようという気持ちになるのかもしれません。
この研究が直接調べたのは、どんな難易度の問題を選ぶかです。難問に取り組めば「思考体力」が鍛えられると実証したものではありません。ここからは、指導を通じて感じていることを書きます。
難しい問題を頑張って考えることは、思考体力を鍛えることにつながると考えています。ここでいう思考体力とは、すぐに答えが見えなくても、手がかりを探しながら考え続けられる力のことです。
条件を整理してみる。図を描いてみる。別の方法を試してみる。うまくいかなければ、どこで行き詰まったのかを確かめる。答えが出るまでの間にも、頭はずっと働いています。
そうして考え続ける経験を重ねると、それまで大変だった問題が、少し軽く感じられることがあります。以前なら途中で投げ出していたところで、もう少し考えてみようと思える。その変化も、学習の大切な成果だと思います。
授業では、その生徒が自分の力で気づけそうなところを見極めながら、問いかけや助言をします。自分で考え、自分で気づくところまで進んでほしいからです。
もちろん、疲れているときには休むことも必要です。生徒の様子に合わせて難易度や取り組む時間を調整しながら、考え続ける経験を積んでほしいと思っています。
今日の一問が解けなかったとしても、次の一問に向き合う力は育っているかもしれません。正解にたどり着くまでの時間も、大切にしたいと思います。